地方ほのぼの新聞
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6月13日(金)の予定 他(雑感)

(1)本日のカルチャーは男の日舞です。

(2)A土俵、B土俵の考え方を介護保険制度を例に書いてみます。この制度は法律によって制定されていますのでA土俵の制度です。しかしこの制度の利用者は、要介護を前提で制定されました。私はNPO法人設立時、その設立趣意書に「この制度には介護予防が入っていない」ということで、NPO法人の定款に介護予防として現在のような生涯学習を入れたのです。すると、やがて、介護保険制度に介護予防が加わりました。しかし介護予防は、私の発想では、B土俵で市民が知恵を出して頑張ればいい分野なのですが、法律のA土俵で行い始めたところに現在の複雑さがあります。しかも厚生労働省と文部科学省のタテ構造も問題を複雑にしており、ここでは全てを書ききれません。私の思いは法律(A土俵)を守りながら、B土俵を徐々に大きくし、法律に影響を与えていくことなのですが・・・。A土俵は人間の命に直接かかわること・・・、B土俵は人間の命に直接には関わらないこと・・・なのですが・・・。HU

2025/06/13
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わたり鳥

 わたり鳥たちが北帰行する季節が近づいています。“鳥たちに魅せられて”、重いカメラを担ぎ、今年も休日返上で撮影旅行をしたKさんは、70代半ばにして現役バリバリのサラリーマン。単身赴任先の山陰で、52歳の手習いで始めた「写真入門」がきっかけでした。
 努力の甲斐あり、二科展10回の入選やコンテストの上位入賞を占め、3年前には会友として写真芸術家の仲間入りを果たしました。恩師からは「労力を惜しまず、対象物に向かい納得のいくまでシャッターを押し続けて、何千枚の中から選び抜かれた珠玉の作品群… 彼に一途という言葉を贈りたい」と絶賛される、こだわりの成果です。
 冬の朝まだき、近くの水鳥公園に一度お供をしただけで、寒さと被写体に早々と根負けしたことのある私は、Kさんが前夜から水分を断ち、チョコレートを食事代わりに、雪や氷の上を腹ばいになって撮り続けるという熱意の凄さには、ただただ脱帽あるのみ!でした。 
 鳥の仲間になって語りかけ、立ち去る時は「ありがとう」を忘れない彼のモットーは、「写真は自分の心の感動を伝えるお手紙」とのこと。以来、私の写真観が変わったのは言うまでもありません。
 10年前、松江市の美術館のギャラリーで、初めてKさんの写真展を観た時の、形容し難い感動と、とめどなく溢れ出た涙のわけも、彼の人柄を知るほどに納得させられています。持前の人格に、度々の事故や病気、阪神大震災(全壊)など、命の修羅場を体験した人なればこその強靭な精神力、とびっきりの優しさが加わったせいでしょうか・・
 仏映画『WATARIDORI』の大阪試写会で、Kさんが感動のあまり監督と言葉を交わし、『鳥』の写真集を手渡したと聞き、次女が映画のビデオを贈った時は、とても喜ばれました。
 野山や海を越え、スモッグの立ち込める大都会の空を、1日900キロも羽ばたいて目的地に辿り着ける不思議な生命の営み… でも過酷な道中の間に数は激減! 見事な隊列を組んで出発した鳥たちが、天敵やヘドロ、鉄砲に命を奪われ、大嵐や崩れ落ちる氷河に力尽きる場面は、切なく胸が締め付けられる思いでした。一番の天敵は人間なのでは? と。
 先日、新聞の惜別欄で、鹿児島の出水平野に飛来する鶴を長年見守り、世話をした方の記事が載っていましたが、彼のお父様もまた(大学名誉教授・元日本野鳥の会北九州支部長)その鶴の保護のために、冬の期間中、出水周辺を借りあげて、聖域化することに情熱を燃やし続けた方なのでした。
 辞世の句は  願わくば鶴去る頃に我往かむ 翅風に乗りてシベリアを観む
 奇しくも写真を通して父の願いを受け継ぐようになったKさん・・・厳寒の地で生き抜くわたり鳥(白鷺、丹頂鶴、白鳥、オジロワシなど)の姿は、けなげで力強く、時に神々しいまでに美しい・・・オホーツクの青空や降りしきる雪景色の中で、また冬枯れの湖畔や真っ赤な夕日をバックに、詩情豊かに切り取られた自然と命の讃歌は、素晴らしい映像のお手紙となって、これからも多くの人たちの心に届くことでしょう。
 白鳥のカップルたちの額を下ろしながら、「気をつけて! 元気で戻ってきてね!」と、涙で眼鏡を曇らせつつ声をかけるKさんを真似て、別れを惜しむ私です。。。

2009/03/16
ほのぼの写真

撮影場所: