11月25日(月)の予定 他(雑感)
(1)本日のカルチャーは健康体操ですが、先生のご都合により、中止になりました。
(2)一昨日の土曜日、某音楽教室の発表会があり、私も20周年記念自作ミュージカルを公演
したおおたかの森ホールで独唱をしてきた。歌った曲は「わすれな草をあなたに」と
「ここに幸あれ」。自己評価は「まあまあ良かった」と思う。今、私のブログ「生活人
語」を時々更新しているが、上記ミュージカルでも訴えたように、「ここに幸あれ」を
個人レベルと国家レベルで書いてシリーズの終わりとしたい。HU
わたり鳥
わたり鳥たちが北帰行する季節が近づいています。“鳥たちに魅せられて”、重いカメラを担ぎ、今年も休日返上で撮影旅行をしたKさんは、70代半ばにして現役バリバリのサラリーマン。単身赴任先の山陰で、52歳の手習いで始めた「写真入門」がきっかけでした。
努力の甲斐あり、二科展10回の入選やコンテストの上位入賞を占め、3年前には会友として写真芸術家の仲間入りを果たしました。恩師からは「労力を惜しまず、対象物に向かい納得のいくまでシャッターを押し続けて、何千枚の中から選び抜かれた珠玉の作品群… 彼に一途という言葉を贈りたい」と絶賛される、こだわりの成果です。
冬の朝まだき、近くの水鳥公園に一度お供をしただけで、寒さと被写体に早々と根負けしたことのある私は、Kさんが前夜から水分を断ち、チョコレートを食事代わりに、雪や氷の上を腹ばいになって撮り続けるという熱意の凄さには、ただただ脱帽あるのみ!でした。
鳥の仲間になって語りかけ、立ち去る時は「ありがとう」を忘れない彼のモットーは、「写真は自分の心の感動を伝えるお手紙」とのこと。以来、私の写真観が変わったのは言うまでもありません。
10年前、松江市の美術館のギャラリーで、初めてKさんの写真展を観た時の、形容し難い感動と、とめどなく溢れ出た涙のわけも、彼の人柄を知るほどに納得させられています。持前の人格に、度々の事故や病気、阪神大震災(全壊)など、命の修羅場を体験した人なればこその強靭な精神力、とびっきりの優しさが加わったせいでしょうか・・
仏映画『WATARIDORI』の大阪試写会で、Kさんが感動のあまり監督と言葉を交わし、『鳥』の写真集を手渡したと聞き、次女が映画のビデオを贈った時は、とても喜ばれました。
野山や海を越え、スモッグの立ち込める大都会の空を、1日900キロも羽ばたいて目的地に辿り着ける不思議な生命の営み… でも過酷な道中の間に数は激減! 見事な隊列を組んで出発した鳥たちが、天敵やヘドロ、鉄砲に命を奪われ、大嵐や崩れ落ちる氷河に力尽きる場面は、切なく胸が締め付けられる思いでした。一番の天敵は人間なのでは? と。
先日、新聞の惜別欄で、鹿児島の出水平野に飛来する鶴を長年見守り、世話をした方の記事が載っていましたが、彼のお父様もまた(大学名誉教授・元日本野鳥の会北九州支部長)その鶴の保護のために、冬の期間中、出水周辺を借りあげて、聖域化することに情熱を燃やし続けた方なのでした。
辞世の句は 願わくば鶴去る頃に我往かむ 翅風に乗りてシベリアを観む
奇しくも写真を通して父の願いを受け継ぐようになったKさん・・・厳寒の地で生き抜くわたり鳥(白鷺、丹頂鶴、白鳥、オジロワシなど)の姿は、けなげで力強く、時に神々しいまでに美しい・・・オホーツクの青空や降りしきる雪景色の中で、また冬枯れの湖畔や真っ赤な夕日をバックに、詩情豊かに切り取られた自然と命の讃歌は、素晴らしい映像のお手紙となって、これからも多くの人たちの心に届くことでしょう。
白鳥のカップルたちの額を下ろしながら、「気をつけて! 元気で戻ってきてね!」と、涙で眼鏡を曇らせつつ声をかけるKさんを真似て、別れを惜しむ私です。。。
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